老人性難聴の症状・原因・治療方法をサクッと解説

相手の言葉が聞き取りづらい! 老人性難聴(加齢性難聴)の症状・原因・治療方法

こんな医療記事、見たことない!
この記事は、日本一分かりやすい老人性難聴(加齢性難聴)のコンテンツを目指して作成しています。一般の方には必要ない専門的な情報を省き、図やイラストを多用することで、サッと読むだけ(赤太字だけを読めば、1~2分で概略が分かる。)でも理解できるようにしました。医師監修のもと、信頼性の高い情報のみを取り上げています。

 老人性難聴(加齢性難聴)の症状・原因・治療方法

族からテレビの音が大きいと指摘されるようになった、人との会話で相手の言葉が聞き取れないことが増えた。もし、このような悩みを抱えているとしたら、老人性難聴(加齢性難聴)になっている可能性があります。

老人性難聴は加齢とともに進行していく難聴で、誰もが経験する聴力低下です。悪化すると、コミュニケーションが困難になり、人間関係や心理面に悪影響が出る恐れもあります。ただ聞こえづらいだけと軽く考えず、早めに対策をとることが大切です。

この記事では、老人性難聴の原因症状治療方法について分かりやすく解説します。

老人性難聴とは

加齢以外に特別な原因がない難聴のことです。加齢によって起こることから、加齢性難聴とも呼ばれています。

個人差はありますが、多くの場合、30代から聴力が低下し始め、50代〜60代で症状を自覚します。有病率は、65歳以上で25〜40%・75歳以上で40〜66%・85歳以上で80%以上です。どの年代においても男性の有病率が高くなっています。

突発性難聴と異なり、左右両方の耳で同時に進行するのが特徴です。聞こえづらいことから会話がスムーズにできなくなり、周囲から孤立してしまうこともあります。

老人性難聴の症状

症状一覧

老人性難聴によって現れる症状と合併症を一覧できるように図にしました。

老人性難聴の症状

赤字は合併症
※ 合併症とは、ある病気に関連して起こる他の病気。

症状の現れ方

どのような流れで症状が現れてくるのか、順を追って説明します。

症状

症状の推移

耳鳴りが現れる

初期の時点では、聞こえにくさを感じることはほとんどありません。静かなときに、『キーン』といった金属音や『ジー』というセミの鳴き声のような耳鳴りが現れます。

高音域から聴力の低下が

高音域から徐々に聴力の低下が起こります。高音成分の多いサ行やハ行などの子音が聞きとりづらくなり、聞き間違いが増えます。多くの人が難聴を自覚するのはこの段階です。

中音域の聴力が低下

中音域の聴力が低下し、日常会話が聞こえづらくなります。多くは、音自体は聞こえるものの言葉がはっきりわからない状態です。聞き返さなければ理解できないことが増え、人によっては会話自体が億劫になってしまいます。

低音域の聴力も低下

次第に低音域の聴力も低下していきますが、高音域ほど顕著な聞こえづらさはありません。

合併症

認知機能の衰え

認知機能の衰えによって、音がどこから聞こえているかがわからなくなることもあります。

劣等感・抑うつ・被害妄想も

他人との意思疎通が難しくなることで、劣等感を抱いたり、抑うつや被害妄想に陥ったりといった心理的影響が現れることもあります。

関連疾患

糖尿病・脂質異常症・動脈硬化・高血圧・中耳炎・認知症・うつ病

老人性難聴の原因

老人性難聴の原因は、加齢による身体機能の低下にあります。どのようにして聴覚に影響が現れるのかを見ていきましょう。

原因

原因と発症までの流れ

耳鳴りが現れる

音を感じ取る役割を持つ蝸牛(蝸牛を図で見る)の感覚細胞やそこから脳に至る神経細胞および脳細胞は、加齢とともに劣化し減少します。

一度減少した細胞は元に戻らない

これらの細胞は一度減少すると元に戻りません。

中音域の聴力が低下

この影響によって、音を聞き取る能力や音の情報を脳内で処理する機能が低下し、次第に音が聞き取りづらくなります。

その他の原因

蝸牛の血管障害

加齢による蝸牛の血管障害も音の認識を妨げる原因の一つと考えられています。

生活習慣病やストレスも

糖尿病や高血圧・動脈硬化などの生活習慣病やストレス・喫煙習慣などが難聴の進行を早めることもわかっています。

老人性難聴の検査・診断方法

老人性難聴の検査方法は、純音聴力検査と語音明瞭度検査の二種類です。二つの検査結果を見て総合的に診断します。

純音聴力検査

純音聴力検査は、どの音域がどの程度聞こえているか調べる検査です。防音室でオージオメーターという装置を使って行います。

診断

7種類の音で検査

ヘッドホンで低音域(125Hz)から高音域(8,000Hz)まで7種類の音をさまざまな大きさで流し、どこまで聞き取れるかを検査します。

老人性難聴の可能性大

両耳ともに高音域(4,000Hz・8,000Hz)が聞こえづらいという場合、老人性難聴の可能性が高くなります。

他の病気が疑いが

左右で聴力の差がある場合や高音域以外での症状が顕著な場合は他の病気が疑われるため、別の検査を行います。

語音明瞭度検査

語音明瞭度検査は、言葉がどのくらい正確に聞き取れるかを調べる検査です。純音聴力検査と同じく、防音室でオージオメーターを用いて行います。この検査で補聴器の効果の有無を判断します。

診断

語音の聞き取り能力を検査

ヘッドホンおよびスピーカーから、「タ」「モ」「ア」など意味のつながりのない語音を連続で流し、聞こえたとおりに紙に書いてもらいます。

一番聞き取りやすい音量を把握

さまざまな音量で行い、どの音量のときに一番はっきりと聞こえるかを求めます。

老人性難聴の治療方法

現在のところ、老人性難聴を治す方法は確立されていません。しかし、補聴器や人工内耳を使用することで、ある程度の聴力を確保することができます。

補聴器

日常生活に支障が出ている場合には、補聴器を使用して聴力を補うのが一般的です。最近では、小型化・高性能化が進み、いろいろなタイプの補聴器が販売されています。数千円で買えるものから100万円以上するものまで、価格帯もさまざまです。販売店に相談し、自分に合った使いやすいものを選んでください

人工内耳手術

補聴器を使用しても一定の聴力を確保できない場合、人工内耳手術を検討することがあります。人工内耳とは、音を電気信号に変換し、その信号を蝸牛に置いた電極に伝える装置です。これによって聴神経が直接刺激され、音を認識できるようになります。

ただし、すぐに手術を考えるのではなく、まずは使用している補聴器が合っているかを確認することが重要です。日本耳鼻咽喉科学会では、人工内耳手術の適応基準を『90デシベル以上の高度難聴』『補聴器装用効果が乏しいもの』と定めています。

手術療法

スペースの確認

CT装置・MRI装置を使って、蝸牛や中耳・内耳の状態、人工内耳を置くスペースがあるかどうかを確認します。

装置の埋め込み

全身麻酔下で耳の後ろ側に切開を入れ、受信装置を耳の後方、電極を蝸牛に埋め込みます。手術時間は2〜3時間程度です。

慣れるためのリハビリテーション

手術後は、人工内耳から聞こえる音に慣れるためのリハビリテーションが必要です。人工内耳の電極レベルを調整しながら行っていきます。

まとめ(老人性難聴が疑われたら)

病気に気付いたら

放っておくと

老人性難聴はただ聞こえが悪くなるだけでなく、心理面などにも大きな影響を与えます。最近では、耳からの情報が少なくなることでに認知症のリスクが高くなる可能性も指摘されています。

症状が治まらなかったら

難聴を完全に治す方法は今のところありませんが、補聴器や人工内耳で聴覚機能を補うことは可能です。気になる症状がある場合は早めに耳鼻咽喉科で診察を受けましょう。