副鼻腔嚢胞の症状・原因・治療方法

頰が腫れて目が見えにくい! 副鼻腔嚢胞の症状・原因・治療方法

こんな医療記事、見たことない!
この記事は、日本一分かりやすい副鼻腔嚢胞(ふくびくうのうほう)のコンテンツを目指して作成しています。一般の方には必要ない専門的な情報を省き、図やイラストを多用することで、サッと読むだけ(赤太字だけを読めば、1~2分で概略が分かる。)でも理解できるようにしました。医師監修のもと、信頼性の高い情報のみを取り上げています。

副鼻腔嚢胞?二重に見える

の腫れや痛みが生じるようになった。目が見えにくくなったり、ものが二重にみえるようになった。このような症状が現れると、何か深刻な病気なのでは? と考えてしまうことでしょう。

頬から目にかけて痛みが生じたり視力に障害が出たりした場合、副鼻腔嚢胞(ふくびくうのうほう)の可能性が考えられます。放置しておくと、最悪、失明する危険もあります。特に、過去に副鼻腔の手術を受けたことがある人は副鼻腔嚢胞を発症する可能性が高く、特に注意が必要です。

この記事では、副鼻腔嚢胞原因症状治療方法について、イラストや図を使って分かりやすく解説します。

副鼻腔嚢胞とは

副鼻腔嚢胞とは、副鼻腔に嚢胞(のうほう)が生じる病気です。嚢胞が大きくなると骨壁を圧迫し、眼球偏位や視力の異常・頬の腫れなどを引き起こすこともあります。

  • 副鼻腔とは、鼻腔に隣接した骨内にある空洞で、前頭洞(ぜんとうどう)・篩骨洞(しこつどう)・上顎洞(じょうがくどう)・蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)からなる。
  • 日本では副鼻腔嚢胞は、上顎洞に発症する例が多い。
  • 副鼻腔嚢胞は原発性・外傷性・術後性に分類されるが、術後性が最も多い。
  • 副鼻腔にできる嚢胞はゆっくりと成長するため、病変が進行するまで症状が現れないこともある。
鼻腔副鼻腔の断面図

※ 薄いピンクが鼻腔、濃いピンクが副鼻腔。
※ 鼻腔の奥に蝶形骨洞と呼ばれる副鼻腔がある。

副鼻腔嚢胞の症状

症状一覧

副鼻腔嚢胞によって現れる症状と合併症を一覧できるように図にしました。

副鼻腔嚢胞の症状

症状の現れ方

副鼻腔嚢胞の症状は、発症した場所や進行度によってさまざまな症状が現れます。ここでは、副鼻腔嚢胞の症状を紹介します。

症状

症状の推移

鼻の周りの痛みや違和感

病変が進行すると、鼻の周りに慢性的な違和感や痛みを感じるようになります。

頬部の腫脹・痛み

嚢胞が大きくなるにつれて、頬が腫れたり痛みが生じることもあります。

眼球周辺の痛み

嚢胞が大きくなる方向が上方の場合、眼球周辺に痛みが生じることもあります。

頭痛や顔面痛

炎症が起きている副鼻腔の場所によって、鼻の奥や目の周り、頭などに痛みが起こります。

歯茎や口腔内の痛み

嚢胞が大きくなる方向が下方の場合、歯痛や口腔内に痛みが生じることもあります。

視力障害

嚢胞によって眼窩部分の骨壁が圧迫されると、眼球変異や複視(ふくし:ものが二重に見える)などの症状が現れます。さらに嚢胞が大きくなると、失明の危険性もあります。

関連疾患

急性副鼻腔炎慢性副鼻腔炎・鼻茸(鼻ポリープ)

副鼻腔嚢胞の原因

副鼻腔嚢胞が発症する原因は種類によって異なります。ここでは、原発性副鼻腔嚢胞・原発性副鼻腔嚢胞・外傷性副鼻腔嚢胞それぞれの発症原因や流れを紹介しましょう。

原因

原発性副鼻腔嚢胞

原発性副鼻腔囊胞とは、特に発症の引き金となる要因がないケースです。原発性副鼻腔囊胞の発症例はそれほど多くありません。

鼻の構造に問題がある

鼻の構造に問題があり副鼻腔炎が引き起こされる場合もあります。鼻を左右に隔てている鼻中隔の大きく曲がっていたり、鼻の粘膜が肥大していたりなどのケースです。通気性が失われるため、副鼻腔に炎症や細菌感染が起こりやすくなりなります。

術後性副鼻腔嚢胞

副鼻腔の手術後に発症するケースです。副鼻腔炎の手術の一種である上顎洞根本術後、10数年後に発症するケースが多くなっています。術後、20~39年後に発症することも珍しくありません。

原因と発症までの流れ

自然口が拡大

上顎洞根本術を受けると洞内粘膜が除去され、自然口が拡大されます。また、上顎洞と下鼻道に開口部が作られることもありました。

周囲の骨組織が縮小

術後、年月が経つと上顎洞と周囲の骨組織が縮小変形し、鼻腔や上顎洞の粘膜が内部に取り残された状態になります。

粘膜の感染

取り残された粘膜が何らかの理由で感染が起こると、嚢胞が生じて拡大し、症状が現れます。

外傷性副鼻腔嚢胞

何らかの理由で副鼻腔内に外傷が生じ、感染が起こることで発症します。

原因と発症までの流れ

顔面骨折

鼻骨骨折・眼窩吹き抜け骨折・視神経管骨折が起こり治療した後、場合によっては上顎洞根本術を受けた後と同じ状態になります。

時間が経ってから症状が出る

<p術後性副鼻腔炎と同じように治療を受けてから10数年以上経過後に発症する場合があります

副鼻腔嚢胞の検査・診断方法

ここでは、副鼻腔嚢胞を発症している疑いがある場合の検査方法について解説します。

診断

問診

痛みを感じる部位や見え方・鼻づまりや鼻水の状態などを聞きます。副鼻腔の手術の経験や、歯科の治療歴など、10年以上前のことでも必ず説明してください。視力の異常やものの見え方も重要な診断基準なので、正直に答えましょう。

触診

頬部に圧痛があるか、頬を抑えて確かめます。口腔内の観察をすることもあるでしょう。眼球突出がないかも調べられるので、目の違和感があったら説明してください。

CT検査・MRI検査

副鼻腔にCT検査やMRI検査を行い、嚢胞の位置や数・大きさや骨壁の破壊があるかどうかを確認します。

その他の検査

感染が起こっている可能性がある場合は、血液検査を行います。

副鼻腔嚢胞の治療方法

副鼻腔嚢胞の治療方法には、保存療法と手術療法があります。ここでは、この2つについて詳しく解説していきます。

保存療法

視野障害や眼球運動障害などが見られない場合は、基本的に保存療法をすすめられます。

保存療法

投薬

疼痛や腫れある場合は、感染が疑われるので血液検査をしたうえで、抗菌薬・消炎鎮痛薬などを投与します。

穿刺排膿

嚢胞に穿刺可能ならば、穿刺排膿(針を嚢胞に突き刺し、中の液体を排出する)を行います。穿刺排膿を行うことで症状が早く軽減します。

手術療法

視野障害や眼球運動障害が認められる場合は、手術が必要です。検査の結果失明の危険性がある場合は、緊急手術が行われることもあります。視力に問題がなくても、嚢胞の再発がくり返し起こり、根治治療を患者が望む場合は手術を行います。

手術療法

内視鏡下副鼻腔手術

現在は、内視鏡下副鼻腔手術を行って嚢胞壁を残し、換気と排泄のための交通路を作成する鼻内開窓法が一般的です。鼻のあなから内視鏡を入れて手術を行うため、傷も残りにくいのが特徴です。手術は局所麻酔で行うことが一般的ですが、嚢胞の数や位置によっては全身麻酔が選択されます。退院後、一定期間服薬が必要です。

まとめ(病気に気付いたら)

病気に気付いたら

放っておくと

副鼻腔嚢胞を放置していた場合、成長した嚢胞が骨壁を破壊する可能性もあります。顔の上方に向かって嚢胞が成長した場合、視力に障害が出る可能性が高く、最悪の場合は失明することもあるでしょう。その他、頬の腫れや痛み・歯茎の痛みなどが起こることもあり、日常生活に深刻な影響が出ます。

症状が治まらなかったら

頬の腫れや痛み、複視など視力障害の症状が出た場合は、至急耳鼻咽喉科を受診してください。耳鼻咽喉科以外では、診断がつかないこともあります。特に、副鼻腔の手術をした経験がある人は、定期的に副鼻腔の状態を診察してもらうことが大切です。