鼻中隔湾曲症の症状・原因・治療方法をサクッと解説

しつこい鼻づまりは鼻中隔湾曲症かも! 症状・原因・治療方法

こんな医療記事、見たことない!
この記事は、日本一分かりやすい鼻中隔湾曲症のコンテンツを目指して作成しています。一般の方には必要ない専門的な情報を省き、図やイラストを多用することで、サッと読むだけ(赤太字だけを読めば、1~2分で概略が分かる。)でも理解できるようにしました。医師監修のもと、信頼性の高い情報のみを取り上げています。

最近、鼻詰まりがひどくなったみたい

つも同じ方の鼻がつまる、鼻血が出やすい呼吸が苦しい。このような症状は鼻中隔湾曲症が原因かもしれません。

鼻中隔湾曲症は、鼻の穴を左右に分けている鼻中隔の湾曲によって起こる病気です。日本人を含む東洋人は欧米人に比べて鼻が小さいため、特に鼻中隔の湾曲が起こりやすいといわれています。

この記事では、鼻中隔湾曲症原因症状治療方法について、イラストや図を使って分かりやすく解説します。

鼻中隔湾曲症とは

鼻の穴を左右に隔てる鼻中隔が曲がったり突出したりして鼻の穴が狭くなることで、鼻づまりなどさまざまな症状が現れる病気です。

  • 湾曲はS型・C型・トゲ型など、さまざまなタイプがある。
  • 成人の80~90%は鼻中隔が曲がっているといわれ、湾曲自体は特別なことではない。
  • 日常生活に支障をきたす症状が現れたときには、鼻中隔湾曲症と診断され、治療が必要となる。
正常な鼻中隔
S型の鼻中隔湾曲症
C型の鼻中隔湾曲症
トゲ型の鼻中隔湾曲症

鼻中隔湾曲症の症状

症状一覧

鼻中隔湾曲症によって現れる症状と合併症を一覧できるように図にしました。

鼻中隔湾曲症の症状

赤字は合併症
※ 合併症とは、ある病気に関連して起こる他の病気。

症状の現れ方

鼻中隔湾曲症の症状と合併症の現れ方を順を追って説明します。

症状

症状の推移

片側に鼻づまりが起こる

鼻中隔が曲がって狭くなっている側の鼻腔(鼻の穴)に鼻づまりが起こります。

鼻血が出やすくなる

鼻腔が狭くなっていることで、呼吸のたびに鼻粘膜が強い刺激を受けるようになり、鼻血が出やすくなります。

鼻づまりが両側に及ぶ

広くなっている側の鼻粘膜が肥大します。これは、左右で空気の通りを揃えようとする体の機能によるものです。その結果、両側の鼻腔がつまるようになります。

頭痛や頭重感・いびきが

鼻づまりがひどくなると、頭痛や頭重感・いびきなどの症状が現れます。

合併症

睡眠時無呼吸症候群の発症

鼻呼吸に障害が起こることで、睡眠中に何回も呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群を発症することもあります。

嗅覚障害・味覚障害の併発

鼻呼吸ができなくなることで、においがわからなくなる嗅覚障害が現れます。嗅覚と味覚は密接に関係しているため、同時に味覚障害が起こることもあります。

副鼻腔炎・滲出性中耳炎の併発

鼻粘膜に炎症が起こっている場合、副鼻腔炎や滲出性中耳炎を併発することもあります。

関連疾患

アレルギー性鼻炎副鼻腔炎滲出性中耳炎睡眠時無呼吸症候群

鼻中隔湾曲症の原因

鼻中隔湾曲症の原因は大きく分けて、成長過程の中で生じるものと外傷によって生じるものの二つです。どのようにして鼻中隔が湾曲するのかを説明します。

原因

原因と発症までの流れ

成長速度の違う3つの骨

鼻中隔は、鼻中隔軟骨・篩骨正中板(しこつせいちゅうばん)・鋤骨(じょこつ)と呼ばれる3つの骨で構成されています。それぞれの骨は、微妙に成長速度が異なります。

発育の差により鼻中隔が湾曲

3つの骨に発育の差が生じることで、バランスが崩れ、鼻中隔が湾曲します。この湾曲は、10歳ごろから徐々に現れます。

片方の鼻腔が狭くなる

湾曲がわずかであれば問題ありませんが、湾曲が強くなると、片側の鼻腔が狭くなることによってさまざまな弊害が起こる場合があります。

外傷が原因の場合も

鼻の打撲や骨折など、外傷が原因で鼻中隔が湾曲することもあります。

鼻中隔湾曲症の検査・診断方法

鼻中隔の湾曲は成人のほとんどに見られ、それ自体は病気ではありません。そのため、鼻中隔の湾曲具合だけでなく、鼻粘膜の状態や鼻づまりの度合いなどを含め、総合的に診断を行います。

診断

鼻中隔の湾曲を観察

鼻鏡と呼ばれる道具で鼻の穴を広げ、鼻中隔の湾曲具合を観察します。

鼻粘膜の状態を診る

鼻から内視鏡(小型カメラを搭載した細い管)を入れ、鼻粘膜の状態などを詳しく診ていきます。

図1(鼻中隔湾曲症の内視鏡画像):これは高度に右へ弯曲した鼻中隔です。鼻の奥がほとんど見えず、常に右の鼻は詰まった状態です。

曲がり方や副鼻腔炎の有無を確認

身体の断面を撮影できるCT装置を用いて、鼻中隔の曲がり方や副鼻腔炎などの有無を確認します。

図2(鼻中隔湾曲症のCT画像):高度に湾曲した鼻中隔のCTです。鼻中隔が高度に右に湾曲して右の下鼻甲介を圧迫しているのがわかります。

鼻腔通気度検査

鼻腔通気度検査と呼ばれる方法を用いて、鼻づまりの程度を客観的に診断します。

アレルギー検査

アレルギー性鼻炎の合併が疑われる場合には、アレルギー検査を行うこともあります。

鼻中隔湾曲症の治療方法

日常生活に影響の出る症状が現れている場合には治療が必要です。

保存療法

症状が軽い場合や本人が手術を希望しない場合は、保存療法で様子を見ます。基本は個々の症状への対症療法です。成長過程で鼻の形が変化する子供の場合にも保存療法が選択されます。

保存療法

点鼻薬や内服薬の使用

症状に合わせて、抗ヒスタミン・抗アレルギー・ステロイド・抗炎症薬・抗生物質などを点鼻や内服で使用します。

ネブライザー療法

ネブライザー装置を用いて、薬液を鼻腔内に噴霧する療法が行われることもあります。

経過観察

薬剤の長期使用は症状を悪化させる恐れもあるため、注意深く経過を観察します。

手術療法

鼻中隔湾曲症は鼻中隔の湾曲によって生じるため、根本的に治療するためには鼻中隔の湾曲を矯正する手術(鼻中隔矯正術)が必要です。基本は1週間程度の入院となりますが、現在は日帰りで手術を行っているところも増えています。

手術療法

鼻中隔矯正術の流れ

麻酔

麻酔薬を浸したガーゼを鼻に挿入するガーゼ麻酔、注射を用いた局所麻酔を行います。

鼻中隔粘膜を切開

狭くなっている側の鼻中隔粘膜をメスで切開します。鼻の中を切開するため、外から傷が見えることはありません。

鼻中隔軟骨から粘膜を剥がす

剥離子(はくりし)と呼ばれる器具を用いて、鼻中隔の軟骨から粘膜を剥がしていきます。

曲がった軟骨や骨を取り除く

曲がっている部分の軟骨や骨を取り除きます。湾曲の程度や場所によっては、形を整えて戻すこともあります。

縫合

止血後、切開した部分を縫い合わせます。

止血

手術後は、シリコンチューブの入ったスポンジを鼻の穴につめて患部を圧迫し、出血を防ぎます。

感染を防ぐ

傷口からの感染を防ぐために、抗生物質を処方します。

鼻粘膜が肥大している場合

鼻粘膜が肥大している場合には、肥大した粘膜の下にある骨を切除する手術(粘膜下下鼻甲介骨切除術)を行うこともあります。

副鼻腔炎を併発している場合

副鼻腔炎を併発している場合には、副鼻腔炎の手術(内視鏡下副鼻腔手術)も同時に行います。

手術費用

鼻中隔湾曲症の手術は健康保険の適用となるため、70歳未満で国民健康保険に加入している場合、自己負担額は3割です。ここでは3割負担の例で紹介します。

費用
  • 鼻中隔矯正術24,690円
  • 粘膜下下鼻甲介骨切除術(片側):19,860円
  • 鼻甲介切除術(片側):6,930円
  • 内視鏡下鼻・副鼻腔手術10,800円〜99,240円

※内視鏡下副鼻腔手術(ESS)は重症度や手術の範囲によって費用が異なります。※手術費用以外に、検査料・再診料・術後の薬剤料、入院の場合には入院料が別途発生します。

まとめ(鼻中隔湾曲症が疑われたら)

病気に気付いたら

放っておくと

自覚症状が出るほどの強い湾曲は、慢性副鼻腔炎など別の病気を引き起こしたり、症状を悪化させたりする原因となります。

症状が治まらなかったら

いつまでも鼻づまりが治らない、鼻血が出やすいという場合には、耳鼻咽喉科で診察を受けてください。