慢性副鼻腔炎の症状・原因・治療方法をサクッと解説

黄色い鼻水や鼻づまりは慢性副鼻腔炎? 症状・原因・治療方法

こんな医療記事、見たことない!
この記事は、日本一分かりやすい慢性副鼻腔炎のコンテンツを目指して作成しています。一般の方には必要ない専門的な情報を省き、図やイラストを多用することで、サッと読むだけ(赤太字だけを読めば、1~2分で概略が分かる。)でも理解できるようにしました。医師監修のもと、信頼性の高い情報のみを取り上げています。

鼻をかんでもスッキリしない

がつまって呼吸が苦しい、黄色いドロっとした鼻水が出る、頭が重たい感じがする。もし、このような症状が3ヶ月以上続いているとしたら、それは慢性副鼻腔炎が原因かもしれません。

放っておけば治るだろうと甘く考えていると、においがわからない倦怠感が続くなど、日常生活に悪影響が出ることもあります。手術が必要なほど悪化してしまうケースもあるため、症状が軽いうちに正しい対策をとることが何よりも重要です。

この記事では、慢性副鼻腔炎原因症状治療方法について、イラストや図を使って分かりやすく解説します。

慢性副鼻腔炎とは

副鼻腔に生じた炎症が慢性化した状態を指し、一般的には発症から90日以上続く副鼻腔炎のことを慢性副鼻腔炎といいます

  • 副鼻腔とは、鼻(鼻腔)と隣り合う骨内に存在する空洞のことで、前頭洞(ぜんとうどう)・篩骨洞(しこつどう)・上顎洞(じょうがくどう)・蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)の4つが左右それぞれに存在する。
  • 鼻の奥に膿(うみ)がたまることから、かつては蓄膿症とも呼ばれていた。
鼻腔副鼻腔の断面図

※ 薄いピンクが鼻腔、濃いピンクが副鼻腔。
※ 鼻腔の奥に蝶形骨洞と呼ばれる副鼻腔がある。

慢性副鼻腔炎の症状

症状一覧

慢性副鼻腔炎によって現れる症状と合併症を一覧できるように図にしました。

慢性副鼻腔炎

赤字は合併症
※ 合併症とは、ある病気に関連して起こる他の病気。

症状の現れ方

慢性副鼻腔炎の症状と合併症の現れ方を順を追って説明します。

症状

症状の推移

鼻づまりが起こる

慢性的な副鼻腔の炎症によって鼻粘膜が腫れ、鼻づまりが起こります。

黄色く粘度の高い鼻水

炎症が重度になると、黄色く粘度の高い鼻水が出るようになります。

後鼻漏や痰絡みの咳

粘度の高い鼻水が喉のほうに流れ落ちる後鼻漏が現れます。これによって、痰が絡んだ咳が出ることもあります。

頭痛や顔面痛

炎症が起きている副鼻腔の場所によって、鼻の奥や目の周り、頭などに痛みが起こります。

合併症

鼻茸(鼻ポリープ)

炎症が長引いた場合、鼻茸(鼻ポリープ)と呼ばれる腫瘤(腫れ物)ができることがあります。

嗅覚障害

鼻粘膜の腫れや鼻茸(鼻ポリープ)によって鼻の通りが悪くなり、においがわからなくなる嗅覚障害が現れます。

急性中耳炎

耳と鼻は耳管(耳管を図で見る)と呼ばれる管状の器官でつながっているため、細菌が中耳まで達し、急性中耳炎を引き起こすこともあります。

滲出性中耳炎

炎症によって耳と鼻をつなぐ耳管(耳管を図で見る)が狭くなっている場合、耳の中で分泌された液体が排出できずにたまってしまう滲出性中耳炎になることもあります。

関連疾患

急性副鼻腔炎・鼻茸(鼻ポリープ)・急性中耳炎滲出性中耳炎

慢性副鼻腔炎の原因

副鼻腔炎になってしまう最大の要因は、副鼻腔と鼻腔を結ぶ通路が塞がってしまうことです。なぜ、そのような状態に陥ってしまうのでしょうか? 原因と発症までの流れを解説します。

原因

原因と発症までの流れ

細菌感染による鼻腔の炎症

風邪などに伴う細菌感染によって鼻腔(鼻の穴)に炎症が起こります。慢性副鼻腔炎の発症には、黄色ブドウ球菌・インフルエンザ菌・肺炎球菌などが大きく関わっているといわれています。

鼻腔と副鼻腔の交通路が閉鎖される

鼻腔の炎症がその奥にある副鼻腔にまで広がり、粘膜が腫れることで鼻腔と副鼻腔の交通路が閉鎖されます。

副鼻腔に炎症が起こる

副鼻腔内の換気が悪くなることで細菌が繁殖しやすくなり、炎症が起こります。

副鼻腔に膿がたまる

副鼻腔で分泌された粘液の排出がうまくできなくなり、膿がたまります。

その他の原因

鼻の構造に問題がある

鼻の構造に問題があり副鼻腔炎が引き起こされる場合もあります。鼻を左右に隔てている鼻中隔の大きく曲がっていたり、鼻の粘膜が肥大していたりなどのケースです。通気性が失われるため、副鼻腔に炎症や細菌感染が起こりやすくなりなります。

きっかけとなる行動

副鼻腔炎は、普段の生活で何気なくとっている行動によって引き起こされることもあります。きっかけとなる行動をいくつか紹介します。

きっかけとなる行動

鼻をすする癖

鼻水をすすることで細菌やウイルスを含んだ鼻水が副鼻腔に入り、炎症を起こしやすくなります。

偏った食生活・睡眠不足

偏った食生活や睡眠不足は体の免疫力を低下させる要因です。免疫力が低下することで雑菌などの異物を副鼻腔から排出できず、炎症が起こりやすくなります。

喫煙

タバコに含まれているニコチンは、鼻粘膜の血行不良を招き、鼻粘膜を傷つきやすい状態にしてしまいます。傷ついた鼻粘膜は防御機能が低下するため、ウイルス・細菌に感染しやすく、副鼻腔炎のリスクが高まります。

慢性副鼻腔炎の検査・診断方法

すぐに病院に行かなければと頭ではわかっていても、実際にどのように検査・診断を行うのか不安に思っている方も多いでしょう。そこで、病院での検査・診断方法について解説します。

診断

問診

現在の症状や病歴などを確認します。顔を何ヵ所か軽く叩き、副鼻腔が敏感になっていないかを調べることもあります。

ファイバースコープ診断

まず、鼻の中を肉眼でまた、ファイバースコープで観察します。最近は多くの耳鼻科で患者さんにも見えるようにモニタに映す病院も多いようです。

図1(慢性副鼻腔炎のファイバースコープ画像):例えばこんな感じです。これは左の鼻腔ですが鼻中隔と下鼻甲介の間にポリープが二つ見えます。手前のものと奥のものは色は違いますがどちらも副鼻腔炎に伴う良性のポリープです。

CT診断

次にCT兼検査を行います。単純X線検査では詳しいことはわかりませんので、手術が必要かどうか、あるいは腫瘍の可能性があるかなどはCT検査が必要でしょう。

図2(慢性副鼻腔炎のCT画像):図1の患者さんのCTです。左副鼻腔と鼻腔内に陰影が充満しています。ただし、骨の欠損などの悪性を疑わせる所見はなさそうです。

鼻腔通気検査

鼻腔通気検査とは、鼻づまりの度合いを客観的に診断するための検査です。鼻腔通気度計と呼ばれる装置を使って、鼻呼吸の状態を観察します。

慢性副鼻腔炎の治療方法

副鼻腔炎の治療方法は、大きく分けて保存療法と手術の二つです。症状や画像診断に応じて、必要な治療方法が選択されます。

保存療法

症状が明らかに重度な場合を除き、まずは保存療法を行います。

保存療法

鼻の内部をきれいにする処置

鼻腔や副鼻腔にたまった鼻水を吸引し、生理食塩水などを使って洗浄します。

ネブライザー療法

ネブライザー(薬液を細かい霧状にする装置)を用いて、抗菌薬やステロイド薬など、炎症を抑える働きのある薬剤を鼻の中に行き渡らせます。

内服薬の処方

個々の症状に応じて、内服薬を処方します。多くのケースで用いられるのが、マクロライド系抗生物質や抗ヒスタミン剤などです。症状によっては、痰や鼻水を出しやすくする気道粘液修復剤や気道粘膜溶解剤を処方することもあります。

手術療法

保存療法を行っても改善しない場合や再発を繰り返す場合には、手術療法による治療を検討します。副鼻腔炎に対する手術は、狭くなっている鼻腔と副鼻腔の交通をスムーズにすることが主な目的です。ほとんどの施設では1週間程度の入院が必要ですが、日帰りや1泊2日での手術を可能としている病院もあります。手術時間は片側30分程度、両側60分程度です。

手術療法

内視鏡下副鼻腔手術(ESS)の流れ

麻酔

麻酔薬を浸したガーゼを鼻に挿入し、手術直前に局所麻酔を注射します。

内視鏡の挿入

鼻の中に内視鏡を挿入し、カメラの映像をモニターに投影しながら手術を行います。

鼻茸や病的粘膜の除去

鼻の粘膜にできた鼻茸(鼻ポリープ)や炎症によって病的に腫れている粘膜を除去し、鼻腔と副鼻腔の交通路を広げます。

止血

手術箇所に特殊な綿やスポンジを詰めて止血します。

感染を防ぐ

感染症を防ぐために、手術後は抗生剤の点滴を行います。退院後は内服薬で処方します。

鼻腔内の洗浄

手術後1〜2週間程度は粘液や乾燥した血液などで鼻の中が汚れやすくなるため、定期的に鼻腔内を洗浄します。

鼻中隔に湾曲がある場合

鼻中隔が湾曲している場合は、曲がっている鼻中隔を真っ直ぐにする鼻中隔矯正術を行うこともあります。

下鼻甲介に問題がある場合

下鼻甲介に形態異常や粘膜の腫れが見られる場合は、骨の一部を切除する手術(粘膜下下鼻甲介骨切除術)を行うこともあります。

手術費用

慢性副鼻腔炎の手術は健康保険の適用となるため、70歳未満で国民健康保険に加入している場合、自己負担額は3割です。ここでは3割負担の例で紹介します。

費用
  • 内視鏡下副鼻腔手術(ESS)10,800円〜95,700円
  • 鼻中隔矯正術20,580円
  • 粘膜下下鼻甲介骨切除術(片側):8,880円

※内視鏡下副鼻腔手術(ESS)は重症度や手術の範囲によって費用が異なります。
※手術費用以外に、検査料・再診料・術後の薬剤料、入院の場合には入院料が別途発生します。

まとめ(病気に気付いたら)

病気に気付いたら

放っておくと

においがわからない、集中力が続かないなど日常生活に支障が出るだけでなく、炎症が耳や眼や脳などに広がり別の病気を引き起こすることもあります。

症状が治まらなかったら

鼻づまりが何か月も治らない、鼻水が黄色い状態がいつまでも続くという場合には、早めに耳鼻咽喉科で診察を受けてください。